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耕すことの四方山話

16 黒竜江省白奨土改良プラウ

中国黒竜江省からの留学生が、北海道の土層・土壌改良事業に感銘を受け、帰国後、JICAを通じて協力を要請してきました。第二層の白奨土が作物の生育を阻害するので、第二層と第三層を反転して欲しいというものでした。現地で手作業の基礎試験をすると二倍以上増収する結果が出ているので、これを事業化したいというものでした。

土層改良で二倍以上の増収はあり得ないと考えられたことや、第二層と第三層の反転は技術的に難しく要望には答えられないと断りました。

以前、中国で田植機を開発していると発表され視察に行きました。それは箸にも棒にも掛からないものでしたが、「日本人は田植機も開発できない」と笑われました。

その後、製品として完成された日本製の田植機を原正市さんが持ち込み中国全土に普及させました。

当時のハルピンには、JICAの事務所があり試験場のOBが派遣され大豆の育種や、病理の技術指導をしていました。そこを通じて執拗に技術指導を迫ってきたので、断り切れずに取りあえず現地を調べてから結論をだそうと、行ってみることにしました。基礎試験の場所にも行きましたが、とても信頼できるものではありませんでした。

JICAから土壌分析の機械器具が一式提供されていましたが分析すらしていないのです。やむを得ず、数カ所の現地土壌を日本に持ち帰り分析すると、第二層より第三層の化学性が劣悪で反転すると逆に生産性を低下させてしまいます。当時は日本と異なり土壌改良資材も乏しい国ですから、とても協力できないとしました。

長年の淺耕で棃底盤が形成されているので、本来はそれを破る必要があることは明白です。基礎試験地ではスコップを用いて人力で行っていますから、偶然排水が良好となり、増収したのだと思いますが、それでも二倍も増収するすることなど有り得ないものです。

現地で行われている試験では改善は望めない、日本の心土肥培耕方式が妥当であると提案し、それ以外は協力しないと断言しましたが、それでも食い下がられるので、小松のブルドーザーに18インチ3連の心土耕プラウのセットを供与し現地試験を行うことにしました。

また、理論的に納得できる成績を出し説得しようと考えましたので、心土肥培の基礎試験も行うことにしました。次回の訪問時には、JICAが土壌肥料の専門家を派遣してくれたので、日本の技術で解析もできます。そんなことから、現地の希望を少しは汲み入れようと、僅かに第三層に干渉できる心土耕も持参しました。結果は予想通りで、可能であれば、心土肥培耕を行うべきとの結論でした。

日本人は正直であることを美徳とします。試験に関わった中国の方々は自分の失敗を認識していても、それを口に出すことはありません。そうすることは、自分の立場を悪くしてしまうと感じているようでした。ともあれ、我々の努力が認められ表彰もされましたが、しんどい仕事でした。

ブルドーザーと心土耕プラウは、賃耕で活躍したようなので、そちらの功績の方が大きかったのかもしれません。その後、心土耕プラウを国産化したいと図面の提供を要請されましたが、日本と違い特殊鋼を使えない中国では同じものは作れないとお断りしました。

中国からの留学生を受け入れている北海道のS大学は、現地の担当者も留学していたという関係から、中国からの同様な依頼に大学として協力することになりました。大学の先生は第二層と第三層は反転できると安請け合いし、大学の鍛冶場で試験機を真似た紛い物を製作し、実費で現地に持ち込んだようです。

何回か現地に二人の先生が通いましたが、当然まともな成績にはなりません。その先生は、心土肥培耕を否定していたのですが、その内少しは成果をださなければと考えたのか、中国側からの要請があってかは分かりませんが、最後には心土肥培耕の基礎試験を行っています。

その後は、君子豹変し、心土肥培耕の効用を認めました。そして、個人失費に苦しんだ末、試験場に協力を求めてくるのですから、厚顔も甚だしいところです。

16-01 黒竜江省853農場での慣行耕起状況

旧式のプラウで耕起していますが、耕深は15センチ程度で20センチには達していません。心土破砕もせずに、長年浅耕を繰り返しているので犁底盤が形成され、排水性の悪い圃場になっています。

 

16-02 853農場の土壌断面

第2層が白奨土で、第3層が澱積層です。この二層と三層を入れ換えると収量が倍増するとしていましたが、その理由については説明がありませんでした。このような土壌には、心土肥培耕が適切であると考えられました。

 

16-03 853農場の土壌化学性

 

16-04 853農場の土壌分析値

注) 1.場 所:853農場第2分場第4生産隊圃場
   2.採土日:1989年9月26日
   3.分 析:道立中央農業試験場化学部土壌改良科(1989年11月4日)

 

16-05 改良心土耕プラウ

耕起深を従来のままとして、下層土を大きく破砕し作土の一部が下層に混合するものとしました。圃場が乾燥していると、心土はよく破砕され、また、作土が犁柱の隙間に潜り込んで、計画通りの施行となりました。

 

16-06 各種の心土犁

深さ別、あるいは土質別に最適の心土犁形状を検討しました。一般的には右側の広幅が使いやすく、延長板を長くすると、第三層を第二層と混合させることはできますが、第二層を大きく浮上させることになり好ましくない状態になります。

 

16-07 心土破砕の状況

心土破砕するのはよいとしても、できるだけ凹凸を作らないように工夫しました。心土が作土の上に盛り上がるようになると、それが翌年のプラウ耕で作土に多く混合してしまうからです。

 

16-08 土壌改良資材の心土散布実験区造成

土壌改良資材は入手難とのことでしたが、分析結果では明らかに心土の化学性が劣悪で、これを改善しなければ土地の生産性向上は有り得ません。説得のために実験区を設定しました。

 

16-09 心土肥培耕との生育比較

心土肥培耕区は茎がもっとも太く、生育が進んでいます。サイレージコーン等の場合、栄養収量が多いようです。