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耕すことの四方山話

22 草地更新

我が国の乳牛一頭当たりの年間の搾乳量は、世界の上位にあると言われています。昔、9から10トンあればスーパーカウと呼ばれていましたが、現在では普通の乳牛がそれに達しています。昔は6産であったものが、3産か4産で乳牛を更新していることもあるようですか、最大の要因は輸入される濃厚飼料に依存している飼養管理によるものとされています。

円高の時代は、安い飼料を購入できましたが、円安の時代を迎えると一転して高価な飼料代に苦しむことになってしまうのが我が国の酪農です。一部では牧草まで輸入していたこともあるようで、飼料の自給体制を整えようと言いながら一切手当していかったことが問題点として浮上します。

アベノミクスで円安になったのは政治が悪いと言うかもしれませんが、円安で輸出産業が活発化し我が国の経済を潤しているのですから一概に悪いとは言えません。政治といえどもどちらにも良い子にはなれないのが当たり前です。とすると、安定的な経営を維持するために常に変動を考慮し、飼料自給体制などを整えておく必要があったのです。

黒沢酉蔵は、酪農の基本は土・草・牛であるとしていました。良い土づくりをすれば、栄養バランスに優れた草となり健康な牛を育てます。

そして、安全・安心の牛乳が人間を健康にするだったのです。

草地更新も、5年に一度とされていましたが、今では、そんな農家は何処にもいなくなってしまいました。化学肥料を散布すれば牧草は育ちますが、肥料で育てた牧草がまともである筈がありません。土から収穫するのですから牧草も作物なのです。

草地更新をすると、根圏域が広くなって、草は健全な生育をします。乳牛は健康に良い草を知っていて、採食量が多くなるともいわれます。

このように、農業の原理原則は古今東西変わるものではありません。時代が変わり、技術が進歩しているとすれば、その技術で原理・原則をどのようにアレンジするかだけです。

20年程前に開発公社が簡易更新を予算化しましたが、それでは納得できる草地にはならないので、やはり原点に戻るべきとして新しい草地更新方を検討することにしました。完全反転鋤込み・破砕耕を検討するために、開墾用のボトムに大きなジョインタとコールタを取り付け、15センチ、25センチ、35センチの三段階の耕深で試験を行いました。

15センチでは硬盤がそのまま残るばかりでなく、ギシギシなどの宿根性雑草が再生してまともな草地更新になりませんでした。

25センチではボトムが土礫を砕きながら反転鋤き込みするので、合格的に達していると観察されました。ただし、若干の宿根性雑草の再生が認められました。

35センチは完璧で、宿根性の雑草を下層に埋め込んで完全に再生を抑制しました。

乳牛の飼養頭数が多くなると、堆厩肥を切り返して完全に腐植させることが困難になります。未熟堆厩肥を草地に還元すると雑草が繁茂します。地域によっては除草剤の使用が禁止されていますから雑草対策が大きな課題となります。35センチ耕なら雑草を完全に消滅することができ、硬盤を破砕し、圧密層も砕くことができ、土層の透排水性も改善され、理想的な草地に戻すことができることが確認できました。

簡易更新は投資が少ないとしても安物買いの銭失いであることを立証しました。

当時のスガノ農機は、耕起後の整地均平に向けて大きな牽引式ローリングハローを発表しました。高能率であることや、仕上がりが綺麗に行えることから推奨できる技術と判断されました。牧草も作物ですからきちんとした整地作業が行われるべきです。

このように新しい草地更新技術は確立されているのですから、何とかこの技術を普及させたいと考えますが、時折話題になり実演会を催す程度で終わってしまっているのは残念です。

東洋農機は、リノベータに施肥機を取り付けて省力的に施工できる管理作業機を工夫をしていますが、これも普及する気配がありません。

最近の農業行政は昔のような勢いが無く、予算化するのは人気取りの端金ばかりです。土づくりが大事だと言いながら、行政がけん引していくケースは極めて稀ではないでしょうか。

広大な草地集積で土地の生産性を高めようとすると、関連する民間が自ら新しい技術を提案して頑張る以外に日本農業を救う手立てはないと思料されます。

食料自給率を高めようと言いながら、かって600万ヘクタールあった耕地は、一等地が住宅団地や工業団地に浸食され、現在450万ヘクタールに減少しています。品種改良や栽培技術の改善ばかりでは目的に達しません。

基本は土地の生産性を高めることです。土づくりに関連するメーカーの頑張りどころと感じます。

 

22-1 草地更新プラウ

ブラッシュブレーカとも呼ばれ、完全に反転する天地返し耕を狙いとしています。この場合、プラウ耕時の砕土は殆ど行われないので、砕土・整地作業に手間取ります。

 

22-2 改良草地更新プラウ

ホイールトラクタの時代になって、圃場が熟畑化しているので、昔の草地更新用プラウを使う必要はありません。ディスクコールタを一組増やし、耕幅の中心に切り込みを入れると、牧草根部は2列重なり合い、堰底に完全に鋤込まれます。

 

22-3 反転・鋤込み状況

牧草根部は剥がされるように先にれき底に鋤込まれていれば、中層の土壌は牧草根の干渉がないので、砕土されやすくなっています。牧草地でありながら普通畑と同じような耕起状態となります。

 

22-4 耕深35センチ区の牧草の生育状況

耕深は15センチ、25センチ、35センチ、3区を設定。35センチ耕起すると宿根性の雑草も下層に埋没されて死滅し、再生することは全くありませんでした。土壌改良資材を多目に散布すれば、理想的な草地に様変わりするでしょう。