情報配信

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耕すことの四方山話

03 アクスルプラウ

時代が移ることからすれば、その時代に応じた新技術を加えることも大切です。その面に於いて、スガノは真摯に取り組んできました。たとえば、耕起始めに所定の深さに達するのに距離を必要とするプラウ耕起の課題解消に向けた開発も大きな成果のひとつです。刃板の角度を変えるなど、十勝農試でも検討しましたが、構造が複雑になり実用化は困難でした。同時期のスガノ農機開発陣はトップリンクの取付を長穴にして機械全体を傾けるようにしたのです。新しい技術を加えると真面目な印象を与えますが、それが分かりずらいと折角の魅力が半減してしまいます。この面から考えても、この技術は、正にシンプルイズベストでした。

この機構を示すのに何か良い名前はないかと祥孝さん(スガノ農機三代目社長)に相談を受け、Automation Quick Suction Linkage の頭文字を取ってAQSL Plow〔アクスルプラウ〕はどうだろうかと提案しました。自動車の名称などで「ラリルレロ」が良く用いられるのは、それが入ると親しみやすく感じてもらえるからだそうです。この場合も「ル」が入るので、割合ウケるかなとも考えました。この名称は、祥孝さんに非常に喜んでいただき即採用となりました。

そうこうする内に、祥孝さんからまた電話が掛かってきて「ドラフトコントロール(ウエイトトランスファーシステム)の無い国産トラクタに、このプラウを曳かせると、一速早く曳けるとか、一連多くすることが可能だと担当者が言ってきているが、これは何故か、本当か。」というものでした。私は「国産トラクタにはロータリテイラやロータリハローを取り付けて作業する場合、電子制御で一定の耕深を保つ機能が装備されている。この場合、絶えず下がろうとするプラウに対して、電子制御が働いて上げようとする。結果としてのドラフトコントロール的働きがある可能性が高い。そうだとすれば、アクスルプラウのトップリンクの取付部は長穴になっているので、作用も円滑なはずで、充分有り得る。」と答えました。

ただし、電子制御の場合は、作用が敏感なので、その反応の良さから振動的効果もあると考えられます。これを調査して内容を明らかにする必要もあり、以前生研機構に在職し、トラクタの検査を担当していた北農試の西崎室長に相談しました。彼は2,000台もの国産トラクタを鑑定しており、国産トラクタに明るい方で「それは面白い、早速試験をしてみよう。」ということになりました。

試験の結果「15パーセント程電子制御の耕深制御に結び付けると、けん引力が増す」ことが判明し、彼は国際機械学会にこれを発表し、日本の技術力が高く評価されたそうです。西崎さんは、その後帯広畜産大学の教授になりました。

さて、この名前についても祥孝さんに相談されました。

一速早く作業できることから「韋駄天走り」(仏法寺院の守護神。仏舎利を奪って逃げる捷疾鬼を駆け追って捕らえたという俗伝から、足の速い人の喩えに使われる。)と結び付け、Electronics Draftcontrol Technical New Machine の頭文字で EDTN〔イダテン〕はどうかと提案しました。祥孝さんは AQSL の時は即座に「これは貰った」と言ったのですが、EDTN は、余りにも奇抜と感じたのか「良いですね…」と言ったものの、あまり気乗りしない様子でした。国際的に評価された技術ですから、カタログなどにも記載してアピールすべきと思いましたが、残念ながら、そんな気配はありませんでした。

当方の不徳の致すところです。

 

03-01 アクスルプラウ
機体全体が傾けば作業開始の刺さりは良くなる。トップリンク取付部を長穴にしておくことによって、機体は容易に傾く。

 

03-02 アクスル機構
作業を開始して所定の耕深に達する距離は従来の2分の1程に短縮された。以後は一定の耕深を保つ。

 

03-03 アクスルプラウ例
アクスル機構は特に複雑なものでない。どのようなプラウにも適用できる。シンプルイズベストで高水準技術と言える。

 

03-04 普通型プラウ
都府県では、ボトムプラウは、けん引抵抗が大きいとして敬遠されることがある。

 

03-05 アクスルプラウと普通プラウとのけん引力比較試験
国産のトラクタには、耕深制御装置が装備されている。これを作動させると、アクスルプラウはよく反応してけん引抵抗は少なくなった。ニュードラフトコントロールである。「韋駄天」と名付けたかった。

 

03-06 けん引力測定具