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耕すことの四方山話

05 簡易耕、スタブルカルチ

さて、前項のようなチゼルによる簡易耕起法は、誰が日本に火を付けたかです。

黒川英一さん(当時 スガノ農機 制作)は、ボトムプラウが脅かされるのは問題だと言っていましたが、実はスガノ農機が先駆けだったのです。

31回の帯広国際農業機械展では農業機械専門ディーラは勿論、ヰセキやヤンマー、スターなどが海外のスタブルカルチを持ち込んできました。海外もスタブルカルチの再編期だったのでしょう。様々な形態のスタブルカルチが羅列され、我が国にとっても大きな刺激となりました。

欧米では麦類の作付面積が多く、麦稈の始末が課題となります。年内に腐植させるためには、ボトムプラウによる深耕・反転・鋤込みの前に、予備的な手当てをしておかなければなりません。それがスタブルカルチ(刈株処理【 Stubble 】)本来の役割です。古くはスガノ農機の水田多連プラウのようなものを使っており、現在でも海外の展示会で時々見掛けることがあります。

表層の残稈や刈株を浅く耕起してすき込めば、土壌の水分、地温などで有機物の腐植が早まります。その後にプラウで深耕することで年内に腐植し、有機物は可給態となり窒素収支のバランスがとれ、土壌の微生物性も保たれます。

スタブルカルチとして小型プラウを使うのが理想としても、作業効率を考慮すると簡便な方法を模索することになり、チゼルにディスクを組み合わせたり、チゼルを改良して多少の反転性を持たせるとか、色々な形態のものが開発されています。スガノ農機はこの動きに着目し、スガノ式スタブルカルチとして形を整えました。

我が国の場合、本来の刈株処理ではなく、簡易耕として使えるのではないかと注目されるようになりました。水田の場合は、ロータリ代掻き機が発達しいますので、必ずしもロータリ耕での整地がなくても良いし、畑作の場合は、秋蒔小麦の播種にはボトムプラウに拘らなくても良く、作業能率が魅力とされました。土質にもよりますが、簡易耕してからボトムプラウを使うと、理想的な耕起になるという農家も出てきました。

耕すことの基本は、土地の潜在能力を引き出すことであり、保全することです。

この観点からすると、やはりボトムプラウ耕が理想です。

耕すことの多様化時代と考えれば、簡易耕を否定するのではなく、どのように活用するかです。例えば、馬鈴薯を収穫した後作に秋播き小麦を栽培するとします。春に深耕していますからチゼルによる能率的な簡易耕は許されるでしょう。反転鋤込みではないので、雑草が多く成るのが心配ですが、小麦作は除草が比較的容易であり、あまり気にすることはありません。

 

05-01 組立式パーツ
土質や麦稈量などを考慮してのことと思えるが、各パーツの取り外しが容易で、選択して使えるようにしている。

05-02 ヨーロッパのスタブルカルチ その1
表層を15センチ程耕起する。後部にディスクを配列し、麦稈の浮き出しを押さえるようにしている。

 

05-03 ヨーロッパのスタブルカルチ その2
共通しているのは、反転。鋤込みを少しでも良くしようとして、チゼルの幅を広くしもプラウに似た撚りを加えている。

 

05-04 国産スタブルカルチベータ その1
我が国でも幾つかのスタブルカルチベータが開発された。ドライブディスクプラウに替わる技術が必要であっただけに動きは早かった。

 

05-05 国産スタブルカルチベータ その2
水田面積の多い我が国では、水田の耕起にも使えるような様々な工夫を重ねた。簡易耕としてそれれなりに評価された。

 

05-06 スタブルカルチベータの交換部品
農家の技術水準が高いので、圃場条件に合わせて使用することが多い。それに見合う部品が用意されている。

 

05-07 簡易耕起用カルチベータ
水田に限らず、畑作でも簡易耕起法に関心を寄せてきた。プラソイラを参考にした深耕型も開発された。もっと工夫するとその場反転プラウとなる可能性がない訳ではない。

 

05-08 アメリカの簡易耕起カルチベータ その1
アメリカも離農が増えて、1戸当たりの耕地面積が大きくなってきた。サブソイラを改良した簡易耕起法が一般化している。

 

05-09 アメリカの簡易耕起カルチベータ その2
一般圃場の耕起深は30センチを目標にしているようである。表層砕土にいろんな工夫がみられる。

 

05-10 アメリカの簡易耕起カルチベータ その3
アメリカの場合、バーチカルテイレジと称して45センチ耕深を目指すものもある。反転・鋤込みが少なくなっているので、これでは長年月続けると南米の不耕起栽培と同様に何れ破綻を来すであろう。