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耕すことの四方山話

10 緑肥作物

昭和45年頃は、化学の時代と言われ、化学技術が何でも解決してくれるという考え方が蔓延していました。その流れは農業にも波及し、化学の大御所による堆厩肥無用論が飛び交っていました。ところが、君子豹変すの如く、化学万能と豪語していた大御所が有機物の大切さを唱え始めたのは昭和50年以降です。落ち着くべき所に落ち着いたとほっとしましたが、偉い先生達には節操の無さに閉口したものです。

私が敬愛する農家の一人である芽室町の吉本博之さんは、昭和51年頃から休閑緑肥作物としてサイレージコーンの栽培に取り組んでいます。それ以前は近隣畜産農家の堆厩肥を還元していました。なぜ、堆厩肥から緑肥に切り換えたかというと、昭和49・50年は、冷害で大騒ぎになりましたが、吉本さん達のように真面目に堆厩肥を散布し土づくりに取り組んでいた人達は、全く被害を受けませんでした。これを機に化学万能ではなく有機物有用論が出て土づくり運動が展開されるようになりました。それに乗じて、無償だった堆厩肥も有償になりました。吉本さんはそれに反発し、休閑緑肥に切り換えたのです。長い間堆厩肥を還元していたので、それなりの財産が残っていると考え、ここで土づくりの手法を変えてみるのも面白いと緑肥に切替えたそうです。

禾本科のサイレージコーンは、有機物量も多く、土づくりには理想の作物と言えます。勉強家である彼は、その緑肥を軸に独自の技術を組立てました。まずは、スガノ農機に大型プラウを注文し、二メートルもあるサイレージコーンを四十五センチの深さにそのまま完全に鋤込みます。有機物は、枯れあがっていれば腐植は遅れますが、青い生の状態で鋤込めば、C/N比の関係で即腐植の状態に入ります。窒素収支のバランスが崩れるようなことはないのです。

45センチ耕起ですから、表層に反転された下層土には、次の作物に向け土壌改良資材としてリン酸や石灰が施されます。5年輪作なので、5年後に当初鋤込まれた有機物が作土に戻ってきますが、その時には理想的な土壌となっており、肥沃な45センチの作土が造成されます。厚層作土造成が無理なく行われ、土地の生産性は一段と向上します。

彼は常に芽室町一の多収穫農家です。苗作りに優れていることもあるのですが、てん菜は、10アール当たり8トンは当たり前です。近隣の平均収量6トンに対しての8トンで、含糖率が高く、品質も優れているとなれば、この土づくりには頭が下がるばかりです。

緑肥と言えば、一般的には燕麦ですが、この作物もいろいろな面で傑出しています。禾本科の作物は根から出る分泌物が土壌に残っている有害物を消滅させると言われています。

燕麦が生長し、結実し始めた頃、下から5センチほどの高さで茎葉を切断すると、そこからまた新しい茎葉が伸びてきます。このようにして一年中栽培を続けると、秋には土中にびっしりと根が張り、砕けやすい土壌に変貌していることに驚かされます。

客土した粘土の質が悪く、それを改良するために堆厩肥を多めにするなど努力しましたが、砕土性が悪く、まともな作物の生育には結びつかなかったことがあります。途方にくれましたが、燕麦を播き生育の中間で一度刈倒しました。茎葉は旺盛な再生力で、一年中青い状態を保つことを確認できました。翌年耕起すると、砕けやすい土壌に変化し、作物も健全に生育するようになりました。近在の農家から、あの土地を改善することは無理だろうと言われていましたが、燕麦の力を借りて固い粘土土壌の改善に成功したのです。