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耕すことの四方山話

25 収奪農業の愚

作物が圃場から収奪したものを戻すというのは農業の原則です。化学肥料が自由に使える現在は、平年であれば、そこそこの収量がありますから、ややもするとこれを忘れがちです。しかし、ミネラルなどの微量要素は、微量であっても作物が吸収しますから徐々に不足をきたし、異常年には大きな弊害となって狼狽えることになります。ミネラル不足の症状が出てからの手当では、元に戻すのは時間を要するばかりでなく、費用も嵩み大手術をしなければ回復は望めません。

道立中央農試は、昭和38年に琴似から長沼に移転しました。夕張川流域の沖積土で、地力があるということでの移転でした。周辺には有名なタマネギ地帯が散在していましたので当然の選択と考えられました。ところが移転してみると、使い捨てのような土壌管理を繰り返した圃場で、とても試験には供し得ない土壌でした。土壌肥料の専門家が調査して決定した場所だったのですが、そこまでは見抜けなかったのです。

てん菜は移植栽培なので何とか生育しましたが、ビートハーベスタの収穫では、同じような粘土の土塊が上がってくるので使用不能でした。機械の性能が劣ると言われましたが、排水も悪い圃場では、そもそも機械収穫は無理なのです。

周辺のタマネギ農家の圃場は砕けやすい土壌になっており、タマネギの収量・品質に優れています。試験場の威信にかけて土層・土壌改良に取り組まざるを得ません。いろんな作物の試験に供し得る土壌に改良するのに十年を要しました。

土を悪くすることは簡単ですが矯正するには大きな手間を要するのです。

タマネギ農家は必ず秋に堆厩肥を散布し30センチ以上の深耕に心掛けています。もちろん暗渠を整備し心土破砕も行います。時折り土壌診断し土壌改良資材の散布も怠りません。普段のこうした真面目な管理が高位生産をもたらし農家経済を豊かにするのです。

富良野地域もタマネギ栽培で知られています。平成に入ってこの地域のタマネギ農家が離農し始めていると聞きました。タマネギは収益性が高く連作に強い作物ですから、離農などあり得ないと考えていたので理由を調べてみることにしました。そうすると、離農する農家は手間を惜しんだロータリだけの耕起を行なっていました。深耕しても15センチ程度なので連作を続けることで狭い根圏域の栽培となり、ミネラルなどの微量要素が収奪されて忌地現象を起こしていました。収量減は肥料不足だと勘違いして肥料を多用すると、むしろ逆の結果をもたらします。化学肥料だけで作物は育つものではないのです。

作物は17の元素を必要とすると言われ、どれが欠けても健全な生育は望めません。真面目な農家は深耕に取り組み、知らずとも下層から微量要素を補填していたのです。化学の時代なので、総じて化学の力で補えると考えるのは、人間の驕りです。謙虚に土づくりに取り組まなければなりません。

タマネギは連作に強いと言っても連作を続けるのは決して賢明ではありません。連作を続けるというのであれば、それなりの土づくりの手当を必要とします。

北海道、勝部農場の勝部さんは40年も小麦の連作を続けていますが、俺は連作はしていないと豪語します。45センチの深耕を怠らず、プラソイラを上手に利用し、また有機残渣は一切外に持ち出すことはありません。堆厩肥を多用し製鉄所の鉱滓も上手に利用しています。勉強家で実に合理的です。堆厩肥は有機物資源であるのと同時にミネラルの供給源なのです。鉱滓には、石灰、マグネシウム、無水珪酸、アルミニウム、その他多くのミネラルを含んでいます。収奪したものは戻す思想に徹底し、手を抜くことがありません。収量品質に飛び抜けているのは、土づくりの基本をわきまえて実行しているからで、タマネギ農家もこれを参考にしないと、経営の崩壊を招くことになりかねません。