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耕すことの四方山話

07 プラソイラ

ある晩、祥孝さん(スガノ農機三代目社長)から「今井(当時 スガノ農機 営業部)が変なものを作ったのだけど、これが良く分からない。何故なんでしょう解説してください。」と電話が掛かってきました。私も一見していたので、あっ、これはプラソイラのことだなと思いました。経営者として、特性を掌握しておかないと先に進めないと懸命のようでした。

「サブソイラナイフの前に七センチ幅のプラスチック板を取り付けている。サブソイラでもけん引抵抗が大きいのに、これではもっと大きくなって、とても曳けないと思うと、軽く曳ける。何故でしょう?」が、第一声でした。
「ボトムプラウがあれだけの土を動かせるのは、コールタで縦に土壌を切断、刃板で水平に切断し、これをボトムの上で滑らせるからであると考えれば良いでしょう。七センチの幅で、土壌がプラスチック板の上を滑るようにかき上がってきている。この滑りが、けん引抵抗を少なくしていると考えれば良いのです。」と答えると、なるほどと納得したようです。

次の質問は「排水性についてはどう考えますか。」でした。「井戸を掘るとそこに水が集まってくるのと同じで、空隙のある疎の条件に水は集まります。七センチの幅で開溝すれば、仮に少し土が崩れていても、そこは疎ですから当然水は集まり、集まった水は下に流失する筈です。」すると、「サブソイラのように土を砕いていないのですよ。」との切り返しに、総括として「土を砕いているより、水を集め排水していて、これ迄にないシステムといえます。底部の溝は、しばらくは開いたままですから、排水の持続性も優れていると考えられ、新しい技術として評価できます。」と結ぶと、理論武装が整い、販売に自信を持たれたようです。
発明とは、ひょんな切っ掛けから生まれるものです。

ハウス栽培は人が何度も歩き廻り、踏圧で踏み固められています。また、過密な栽培が多く、連作等で忌地現象も発生していることも多いと考えられます。心土破砕しながら、下層の良質土を活用できるプラソイラは、それらを一気に解消でき、世紀の発明になった訳です。

例によって「プラソイラで正しいか。」と名称についても相談を受けました。正しくはサブソイルデイガプラウですが、プラウドソイラ、プラソイラということは、プラウ状のサブソイラであり、特に問題は無いと答えました。

さて、これが商品にになるについては、いろいろな経緯があります。私なりの推測を含めて整理してみます。
これは後で知ったのですが、この得体の知れない物をプラウメーカーが扱うについて、社内で数々の議論が持たれるも、中々結論が出なかったようです。そんな中、感覚の鋭い中山さん(当時 スガノ農機 常務取締役営業本部長)は、商品化できる判断し、スガノ農機が戸惑うなら、松山に相談してみようとしたと思ったようです。
松山も土づくりの会社であり、転換畑の排水性改善に、何か新しい提案が欲しいと考えていた時期だったようで松山が販売を引き受けることになりました。松山は真面目さで定評のある会社です。松山が推選する機械ならばと、まったく新しい商品にも関わらず販売を伸ばしました。松山の信頼で、プラソイラは定着したといって良く、スガノ農機が生みの親ならば、松山が育ての親であった訳です。松山に機械を見る目があったと言うことでしょう。

数年後、松山がプラソイラそっくりのソイルリフタという製品の販売を始めました。私は、松山の西尾専務に手紙を書き、松山ともあろう会社が他社と同じものを販売するのは解せないと糾弾しました。西尾さんから早速電話があり、「これは色々な事情があってのことで、直接逢って話したい。」と連絡がありました。西尾さんとは岩見沢でお逢いしました。西尾さんの話では、中山さんの依頼を引き受けて販売を始めたものの、全くの新しい機械なので色々苦労されたようです。しかし、時間を掛けて推進することで、軽くけん引できることが広まり、次第に販売台数が増えて安堵していた矢先に、スガノ農機から、販売の一元化の都合で、取引を停止したい、との手紙が届いたそうです。
ようやく軌道に乗ってきて、これからという時だったので、これには慌てたそうです。既に受注していたものもあり、アフターケアを考えると自社生産に切り換えざるを得なかったそうです。プラソイラの育ての親なのだから、この件は許されて良いと判断したようです。
そんな事情もあってか、松山が生産する製品にスガノ農機がクレームを付けることもなく、トラブルが発生しなかったのは良かったと思います。

土づくりの専門メーカーであるスガノ農機が本格的に販売を始めると、販売数が続伸しプラソイラはしっかり市場に定着しました。世紀の発明は、こうして世間に認められることになりました。
そして、プラソイラの特許を申請するについても、種々相談を受けました。担当者は中途入社の方でしたが、非常に優秀で呑み込みが早く、申請はスムーズに行われました。
特許は、その特徴を如何に上手くアピールするかがポイントです。けん引抵抗が少ない理由や、排水性が良好で持続性に優れているなど、実に要領よく記載していました。さらに、使用する毎に下層の未熟土を6パーセントづつ作土に混和し、風化させることで未熟土に含まれて居た微量要素は可給態となります。微量要素も補給する形になるので、忌地現象防止に大いに役立つことも上手に表現しました。
また、6パーセント下層土が浮上するとは、疲労した作土の六パーセントが下層に入ることで、作土はそこで休息できるとか、施工を数年繰り返すことで、厚い作土層を形成することができることも要領よく書き入れました。
作土へのサプリメント供給と言う言葉もこの申請時が始めであり、要領を得ていたと思います。
申請と同時に審査請求し、短時間で権利となったのは、彼の能力の賜です。
権利となったことから、松山との関係が微妙になっては困ります。「松山はそっとして欲しい」と言いますと、彼は「勿論です。権利を主張しても裁判沙汰になるだけで、弁理士や弁護士を儲けさせるだけのこと。当方が誰に憚ることなく、生産・販売できれば、それで良しとするのが賢明です。」と明解でした。
通勤が遠いとかで会社を辞めてしまったようですが、惜しい人でした。

07-01 プラソイラ
形態からすると、サブソイラよりけん引抵抗が大きいように感じられるが、その逆でけん引抵抗は少なく、排水効果も高い。

 

07-02 プラソイラの作業状況
7センチの幅で下層土を表面に滑らせ、深い溝を切る。側面の土壌も破砕されるので、土壌は大きく動く。

 

07-03 深耕型簡易耕カルチベータ
アメリカのサブソイラを使ったものより、反転性に優れており、土づくりには適している。

 

07-04 従来のサブソイラ
土壌を切り割り、下層からウイングで押し上げて剪断破砕する方式であるので、けん引抵抗は大きい。

 

07-05 サブソイラの作業状況
プラソイラと違って土壌の動きは少ない。一旦浮上してから沈下する。排水の持続性はプラソイラに劣る。

 

07-06 事業用サブソイラ
施行深60センチ、施行間隔90センチを標準とした。畜力時代は5年に一度の施行が良いとされた。

 

07-07 雪上心破
作物が収穫されてから施行されるので、作業期間が短かった。降雪があっても20センチ程度であれば作業を続けた。