2021年 上期 総合カタログ スガノ農機 株式会社
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このように、既成概念に囚われること無く、乾田直播に取り組む農業経営者を、私は「乾直人」と名付けました。それは、伝統や慣習を重んじる水田地帯には馴染まない、今までに無い考え方を持つ新しい人種と言っても過言では無いと感じたからです。実は、乾田直播は、古くて新しい技術現代の乾田直播は不安定な技術ではありません。作業機の具体的な組み合わせや、ポイントが、すべて解明されています。合わせて、ICT技術も確立しており、心づもりさえ出来れば、新しいスマートな米づくりが実感できます。そもそも国内での水稲は移植栽培が慣わしとなっていますが、例えば北海道では移植が慣行となっていた第二次世界大戦以前に、乾直で15万haの作付けが行われていました。たこ足直播器が開発され、その普及が作付けを拡大できた要因です。田植えの1人当たり作業能率は0.7a/時間でしたが、この直播機では5a/時間。この進化は、戦時下の人手不足や食糧増産に一役も二役も買うことになったのは言うまでもありません。このように、技術革新とは、いつも時代の要求に迫られて生じるようです。このような歴史を持つ北海道で、現代乾田直播のトップランナーである岩見沢市の水稲省力栽培への取り組みは、乾田直播作業体系の確立から、麦の連作や大豆との交互作による連作障害の回避までという大きなテーマとなりました。その経緯を育んだ要因は、レーザーレベラーで高精度に均平化されたほ場にあります。高低差の狂いが少ないほ場での畑作物栽培は、播種精度を向上させ、干ばつや湿害の影響も最小限に留めます。ある意味、インフラの整った「贅沢なほ場」で畑作物が栽培できるのです。なかでも、ビートの直播栽培で多収を実現しているのが代表例でしょう。米、麦、大豆を含めて、全ての播種をドリルシーダーで行うというように、投資した作業機の有効な活用方法の確立にも結びつきました。このように、水稲の乾田直播は、農業分野で考え得る最大限の技術が結集した、「新しい乾田直播」へ成長しました。基本となる作業体系は、前年の秋にプラウで天地返し、春にレーザーレベラーで均平、施肥した後に、パワーハローとドリルシーダーをドッキングしたコンビネーションハローで播種前耕起と播種を同時に実施、最後に鎮圧ローラーによる床締めとなります。すべての作業はトラクタで行え、実用性が高まってきたGPSやICT技術と複合することで、乾田直播は先進農業の代名詞となりました。この作業体系と作業機の上手な使い方が確立するまで、試験導入するすべての農業者を冗談を交えて「被害者」と呼んでいました。被害者は加害者になり、新たな被害者を誘う。本来の日本語の意味としては適切ではない「被害者」と呼ばれた方々は、実は挑戦する先駆者だったのです。パイオニア精神の大きな人ほど播いた種の出る出ないという心配な気持ちを抑えつつ、成功したら誰かに伝えたい。そんな気持ちにさせてくれるのが乾田直播。それが普及の進む原動力になっています。全国的に増殖を続ける乾直人技術の話をするべきかもしれませんが、乾直を始める理由の一つに、SNSで魅力を感じた「あの人」に会いたいとか、実践者が集う場が楽しいという理由があるようです。北海道を中心に11年継続している乾直セミナーはその集いの象徴的な行事です。その中では具体的な技術提供も行いながら、新たに挑戦したい人の不安を取り除く相談所を設け、丁寧に作業のプロセスも説明します。その解説や相談を受けつつ、乾田直播に取り組む実践者の人柄を紹介した冊子(乾直スタイルブック)に掲載された方々や、委員会のメンバー、先輩の農業者たちとの情報交換を通じ、そこから得たもので乾直への取り組みをスタートさせるという方が多いようです。仮に乾直をしなくても、乾直人に合うことで、農業に取りたこ足直播器作業精度を格段に向上させるレーザーレベラー全国から多数の実践者と予備軍が参集するセミナー09

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