2021年 上期 総合カタログ スガノ農機 株式会社
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タイヤでの踏圧の影響●硬盤形成で表層に滞水させ湿害をもたらす。●土壌が硬いことで根が伸びることができない。●干ばつ時、下層から水を吸収することができない。■トラクタの大型化により、さらなるプラウでの深耕が 必要となる。■畑地では、プラソイラやハーフソイラでの 心土破砕が効果的●踏圧がくりかえされると、緊密な土層が生じます。トラクタや作業機がほ場走行する際、土壌はトラクタのタイヤなどや作業機によって踏み固められます。この踏圧がくりかえされると、作土中あるいは作土下に固結した緊密な土層が生じます。トラクタがプラウで耕起したほ場を走行する場合どのように土壌が踏み固められるかというと、63馬力・自重2,165kgのトラクタが1回走行しただけで踏圧深度は35cm位に達します。(図1)これは耕深30cmの場合のものですから、仮に浅く耕起した場合では下層に弾力性がないので、踏み固めはさらに強くなると見なければなりません。また、前輪の通過跡を後輪がさらに通過して踏み固めることになりますので、この二重になった場合が最も硬く、土壌硬度の測定(図2)では深さ20cm位のところが最も硬くなっています。●土壌水分が高くなると、深くまで踏圧が影響します。耕起後何回かトラクタで踏み固められ、やがて降雨などで耕起によって盛り上がっていた表層部が10cmほど下がり元の位置に戻ると、最も硬い層は10~15cmに位置し、踏圧による影響深度は土壌の種類や水分によって多少異なりますが概ね25cm程度となります。さらに、土壌水分が高くなると、より深くまで踏圧の影響があります。(図3)したがって耕起の際、25cm以下の耕深では、不透水層である硬盤が残ることとなってしまいます。●大型になればなるほどトラクタの自重が重くなり より深い位置まで、踏圧深度が達します。硬盤層の形成は、表層に滞水させ湿害をもたらすだけではなく、土壌が硬いことで根が下層に伸びることができず、干ばつ時には下層から水を吸収することができません。つまりプラウによる深耕と効果的な心土破砕がいかに大切かおわかりいただけると思います。近年、規模拡大などに伴い大型トラクタや大型作業機が導入される傾向があります。しかし大型になればなるほどトラクタの自重が重くなりより深い位置まで、踏圧深度が達します。つまりそれに伴い硬盤層の位置も下がりますので、より深い耕起が必要となってくるのです。   資料提供:元(社)北海道農業機械工業会専務理事 村井信仁氏反転耕起心土破砕010203040(cm)図1 ホイルトラクタの踏圧・断面走行トラクタ:63ps 重量:2,165kg走行回数:1回(耕起深30cm)※※前輪走行部深 さ0105101520203040深 さ土壌硬度後輪・前輪前輪(無踏圧)(cm)図2 耕起ほ場のトラクタ単体走行土壌踏圧硬度(63ps 重量:2,165kg)(kg/cm)タイヤサイズ:11-28 荷重:748kg 空気圧:0.84kgf/cm2土壌水分:乾燥土壌水分:普通土壌水分:湿潤図3 踏圧と土壌水分の関係1.41.41.31.31.11.10.80.80.60.60.40.40.20.20.20.20.20.20.40.40.40.40.60.60.60.60.80.80.80.81.11.11.11.11.31.3102030405060(cm)(kgf/cm2)10cm10cm20cm20cm30cm30cmプラソイラ・ハーフソイラ14~70cm深耕用プラウ30~80cm土壌表面からの深さタイヤの踏圧ってそんなに影響するの?営農情報恐ろしい、タイヤの踏圧 大型化でその影響はさらに加速!POINTタイヤの踏圧53

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