2021年 下期 総合カタログ スガノ農機 株式会社
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ユーザーインタビュー ❷ <前田喜芳様>大豆も麦もうまく作れないのは土壌管理を怠っているから。実践を通じて、その大切さを広めたい。大豆も麦もうまく作れないのは土壌管理を怠っているから。実践を通じて、その大切さを広めたい。富山県北東部・黒部市に広がる、豊富な水量を誇る黒部川の広大な扇状地。ここは多雨多雪の天候と黒部川水系の用水に恵まれた凶作・豊作の差が少ない土地柄で、おいしい米がとれます。なかでも私が営農している荒俣地区は、海岸に近いためほ場の海抜が低く、地下水位が高い条件にあります。田んぼの土壌を手で触ってみると砂混じりの粘土ですが、年間を通じてほとんど水に飽和されたグライ層で、なかなか乾きません。「黒部米」ブランドで出荷するコシヒカリには良い土ですが、転作の大豆や麦を作付けすると湿害に悩まされます。土づくりの転機は、転作の大豆(エンレイ)を作付けしたところ見事に湿害に合ってしまい、そのときに相談した農協職員に「プラウをかけてみたら?」と教えてもらったことでした。早速、プラウを持っている友人から借用し、約1haの柔らかいほ場にプラウをかけたら、なんと1週間後にはほ場の表面が白く乾いてきたんです。これはイケるなと思いました。ほかの組合員からも、別のほ場にもプラウをかけられないかと声が挙がるほどでした。その年の大豆は平均単収も200㎏を超え、現場を見に来た普及員のお墨付きも戴きました。富山県産の大豆は近年しわ粒が多く、収量も150~160㎏に留まっています。その状況を打開するために、モミサブローを導入すると、240㎏の単収を上げ、品質面でも県内で35年振りに1等級が付きました。「どうやったら1等が出るのか」と県内外から40件以上の視察依頼を受けたでしょうか。湿害には六条大麦の栽培でも悩まされました。サブソイラと額縁明渠の排水対策を続けても良好な結果に結び付かなかったのですが、そこにもモミサブローを入れると収量が大幅にアップしました。10a当たりの収量が100㎏程度だったのが、400㎏弱になり、予想以上の成果でした。この辺りは、黒部川の電力開発事業の恩恵を受けたアルミ産業の発達で、水田農家の多くが兼業農家なんです。農協の栽培指針どおりの作業体系で米はとれるし、稲作地帯だから大豆や麦がうまくできなくても仕方ない、という方も少なくありません。でも、試行錯誤を実践して、解決策を模索する生き方を歩いてきました。その原点は、20代に従事した廃村での取り組みにあります。農家の長男に生まれた私は、漠然と将来は農業を継ごうと県立技黒部で10年振りに大豆に一等が出たのはプラウ耕によってほ場が乾いたから「人が変わっても継続できる農業」を目指して仲間と廃村へ。自ら実践する生き方を志した黒部市を空から望む(◯周辺が荒俣地区)39

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