2021年 下期 総合カタログ スガノ農機 株式会社
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大豆2年目の水田転換畑断面です。耕盤層が23~30cmに形成され、根の大部分は0~23cmに集中しています。表土(0~30cm)の土性は埴壌土、下層土の土性はシルト質壌土でした。暗渠排水で下層の排水性が改良され、グライ層の出現位置は90cm以深に下がっています。ただし、作土層は約10cmと浅く、直下には鉄・マンガンの斑紋が見られ、やや排水不良といえます。作土を深くすると共に、粗大有機物を含む堆肥の施用で、団粒化が促進され、湿害リスクも回避されると考えられます。鳥取県岩美郡中粒質湿性低地水田土古曽志川流域、谷底平野の水田断面です。乾くと大きな亀裂が生じる作土は膨潤性粘土が主体で、シルト粒子も多いことから、乾燥すると硬く、湿ると軟らかくなりやすいことも特徴です。作土直下にグライ斑があり、部分的に還元的な状態にあります。暗渠により、下層の排水性は改善されていますが、粘土とシルトが多く過湿リスクが大きい作土です。明渠による排水促進、孔隙の多い資材と稲わら堆肥の施用と並行し、定期的な心土破砕による中長期的な土づくりをおすすめします。島根県松江市細粒質表層グライ化灰色低地土と、気候や地質条件から一般に比較的肥沃であると言われていますが、近年、大型機械の踏圧による耕盤形成、作土層の浅耕化、有機物施用による土づくりの減少に起因する地力窒素の低下、団粒の減少、侵食の加速化が生じています。また、土壌中の養分が適正な状態からアンバランスな状態に移行し、養分不足や養分過剰を引き起こしている状態は、正に人間と同様、前者は“骨粗しょう症状態”を、後者は“メタボリック状態”を患っていると言えます。そこで生産現場で生じている様々な問題の現状把握とその解決策を提案すべく農研機構とスガノ農機(株)は、2019年より共同研究を開始しました。具体的には、生産者のほ場に深さ約1mの土壌断面を試掘させていただき、土壌断面形態を観察した後、土壌標本(土壌モノリス)を採取し、現時点での土の健康状態を記録します。また、過去に同様の調査を行った場合は、その当時と現状を比較することにより、これまでの土壌管理が適切かどうかを判断します。では採取した土壌標本を参考に、フルボディとして土を見た事例をご紹介しましょう。《写真1》は、一見、普通の畑の土に見えるかもしれませんが、実は約40年間、プラウを行い、石礫を除去し、牛糞堆肥を投入して、土づくりに取り組まれてきた畑の土壌断面です。その結果、作土は石礫をほとんど含まず、団粒構造が発達し、その厚さは耕盤層も含めると45cmに達していることがわかりました。平成20年に農林水産大臣が定めた地力増進基本指針によると、作土層の厚さの改善目標は水田で15cm以上、普通畑で25cm以上ですが、この畑は45cmにも達しています(ただし、大部分の植物根は深さ30cmまでに集中しており、これは30~45cmの部分が堅く締まっているため〔ち密度:24mm〕、根が入りにくい)。《写真2》は、水田の土です。ここでは土の色(土色)に着目してみましょう。深さ40cmまで茶色、40cmより深い部分は、真っ黒です。《表1》に土色を決める要因を整理してみました。土色は主に“鉄”と“有機物”によって決まることがわかります。したがって、茶色の部分は鉄さび、黒い部分は有機物によってそれぞれ着色されていることがわかります。通常、作土ほど有機物が多いはずなのに、下層土で有機物が多いのはなぜでしょう?実はこの黒い部分はかつて湿地の底で、水に浸かっていました。湿地の底に堆積した植物遺体(有機物)と周辺から流れ込んだ砂や泥(無機物)が混ざりあってできた“黒泥【こくでい】”と呼ばれる土であることがわかりました。一方、茶色の部分は他所から持ってきた別の土を盛土しているため、全体としてこのような顔つきになっていることがわかりました。《写真1》《写真2》主に有機物(炭素や窒素の化合物)→腐植主に岩石や鉱物に含まれる鉄のサビ(酸化物)主に鉄が溶けてしまった後に残るケイ酸(SiO₂)土が水に浸かって酸欠状態になると鉄が青味を持つ(二価鉄)●土色を規定する要因(表1)黒赤・黄白青80

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